待つ

小さい頃、少なくとも中2までは、たまに感情が爆発することがあって、それもいい方の爆発で、たまに、月に2回は、ここに行かなくちゃ、この人に会いたい、これがしたい、そんな感情に突き動かされて、ぽっと家を飛び出して出かけることがあった。自分の生活圏内だし、やれることばかりだったから、そこまで派手なものではなくて、具体的にいうと、川の水に触りたい!だとか、委員長になってみたい!だとか、神様にお祈りしなくちゃ!だとか、おじいちゃんに会いに行こう!だとか。パッと光で弾けて、その衝動で私のお尻は動く。世界が大好きになる。心ばかり前に進んで私はそれを追いかける。自分の欲望のみに従って動くことだったのかな。風の気持ちよさ。体が軽い。前へ進むことだけを考える。世界が大好きになる。

それからだんだんと疎くなって、今はもう当分ない。そんなこともあったなと思い出して、あの感覚をもう一度味わいたいと思ったりして、ぼんやり公園に行ってみる。店に入って、レジに行くけど店員さんがいなくて、何も言えないから待っていると、時間が経って店員さんが私に気づく。肉まんを買って食べる。白猫が三匹、ベンチで休んでいる。観光客がたくさん来る。この街で一番大きな空間。全部、目の前を通り過ぎていくだけだった。もうそんな感覚を味わうことなんてムリだろうなと思う。今だって何もやる気が出ずこうしてインターネットをしてみたりする。レポートとレポートと皿洗いとお風呂に入らなくちゃいけない。また1日が終わって、私はカレンダーにバツをつける。春が近づいている。